債券を買った話
ハイどーも、パーサです。
近頃、債券投資が脚光を浴びていますね。
コロナ禍で異次元の金融緩和が行われた反動で、2022年4月から金利が急上昇しました。
それに伴い、債券価格の下落、債券利回りの上昇がありましたね。
一時は、利回りが5%に達することもありました。
株のリスクプレミアムがだいたい3〜4%と言われています。
株式の予想利回りと債券の利回りの差がリスクプレミアムです。
株式の期待リターンは5~7%前後で推移しています。
長期目線では6.9%辺りです。
そうなると、昨今、利回り4%台の債券は魅力がありますね。
このような状況の中、私は年末から債券を買いました。
これまでは、国債は持っていませんでした。
しかし、市況を鑑みて、面白いかもと感じました。
そこで今日は、私が描いているストーリーをご紹介します。
○債券を買った理由
◆債券を買った理由その1
・米政策金利の長期推移から判断して、今は高水準にある

図:米政策金利長期チャート
出典:ロイターグラフィックス
図は長期の米国政策金利のチャートです。
1980年を頭に、右肩下がりです。
リーマンショック以降は長らく0.25%が続いていました。
2015年からはじわじわ回復していました。
それも、コロナショックでリセットされましたね。
それが、2022年から急激に上昇しています。
コロナ禍の影響でインフレ率がえぐい上がり方をしました。
日本でもインフレが急に加速しましたね。
金利の上昇は、インフレ率を抑える狙いがあります。
2000年以降、金利が5%を超えて安定する時期は見られていません。
一時的に5%超えていても、その後経済の後退と利下げがセットで来ました。
そのことから、政策金利は5%、高くても6%が天井だろうと見込みました。
このぐらいの金利があると、無理して株式に資金を投じる必要性が薄れます。
債券である程度の利回りが狙えるからですね。
さらに、金利が高いと企業は資金調達に苦しみます。
そのため、企業成長の足枷にもなります。
そのことから、高すぎる金利は望まないと見ています。
債券を買った理由は、1つは政策金利の天井が近そうだから、ということです。
◆債券を買った理由その2
・米政策金利の予想がターミナルレートに差し掛かる

図:政策金利の予測
出典:fed watch
CMEが出している、政策金利の予測です。
マーケットの金利先物の価格データに、政策金利の予測が織り込まれています。
そのような情報などから、政策金利の予測を表で発表しています。
これは最近の表です。
私は、11月ぐらいにこのチャートを確認しました。
0.75%の上昇が続いていたのが、0.50%にペースダウンしそうでした。
その先はやがて0.25%上昇となり、ぼちぼち天井となりそうな雰囲気でした。
このことから、分散して債券を買っていくことを決めました。
・このような予想が出始めた瞬間
・金利が実際に0.50%上昇に緩んだタイミング
・上昇が0.25%上昇に緩んだタイミング
・上昇が止まったタイミング
こんな感じで買っていこうと、ざっくりとプランを立てました。
このように、予想でも金利上昇がおさまりそうというのが債券を買った理由の2つ目です。
◆債券を買った理由その3
・インフレ率の鈍化の兆し
政策金利上昇はインフレ退治が最大の目標です。
インフレ率にかかわる指標の変化の兆しもありました。

図:PPI
出典:investing.com
こちらは生産者物価指数(PPI)です。ここ最近は右肩下がりです。

CPI
出典:investing.com
こちらは消費者物価指数(CPI)です。
ここ最近は右肩下がりです。
生産者物価指数、消費者物価指数ともに、2022年8月からは安定して下げています。

図:PCEデフレーター
出典:investing.com
政策金利に一番影響を与えるのはPCEデフレーターです。
こちらは、頭打ちはしたものの、やや高めで推移している印象です。
これが安心して下がらないと、金利も上昇の余地が残ります。
ただ、逆にいえば右肩上がりからは様相が変わったとも感じられます。
このように、インフレ指標の鈍化も債券を買う要因となりました。
◆債券を買った理由その4
・逆イールドが発生

図:米国2年債vs10年債金利差チャート
出典:FRED
こちらは米国2年債と10年債の金利差のチャートです。
一般的に、長期的な債券のほうが未来の不確実性が高いです。
そのため、本来は長期債のほうが利回りが高いです。
しかし、市況によっては、短期債のほうが利回りが高くなることがあります。
これが逆イールド、金利の逆転現象です。
逆イールドは、リセッションのシグナルとして良く知られています。
実際、逆イールドが発生してから少しの時差をおいてリセッションが起こってきました。
今回もそうなるかはわかりませんが、その可能性も十分あると考えています。
有名な指標としては2年債と10年債の比較が良く用いられます。
しかし、より短期な3か月債と、より長期な30年債の間でも逆イールドが見られました。
このことから、少なくとも株価の上値はしばらく重たいのではないかと感じています。
しばらく株価が上がらないなら、債券を持っておこうという見込みです。
○債券を買った動機まとめ
債券を買った動機についてさらっとまとめます
・米政策金利は上昇の勢いがおさまりそう
・米政策金利の天井が近そう
・金利上昇により、インフレ率上昇にも歯止めがかかってそう
・逆イールドが生じていて、株だけでの運用は不安
このような理由から債券を買いました。
・私が債券投資に当たって描いたストーリー
状況的には、債券を買っても面白そうというのは各指標が物語っています。
それに加えて、私が描いたストーリーはこんな感じです。
・金利が天井になると、そこから債券が買われる
・金利が高止まりが続き、株価が上がりにくい
・企業は投資資金も得にくく、企業業績が下がり始める
・場合によっては景気後退も
・当然株価も上値が重く、場合によっては大きな調整
・経済を立て直すために、政策金利が下げに転じる
・金利が下がると利回りも下がる。債券は買われる
このように株価が上がりにくく、債券は上がりやすい、
そのようなストーリーを描いています
○デメリット、バッドストーリー
このストーリーの想定外も考えておく必要があります。
1つは、インフレ率の抑制が効かず、金利がさらに高くなる可能性があることです。
実際、債券を買い始めたころのターミナルレート予想は5%でした。
しかし一時期は、5.75%が意識されていましたね。
個人的には、過去の状況などから、6%ぐらいまでが上限かなと感じています。
これを超えるようだと、債券は一段と下げそうですね。
ただし、債券利回り6%はかなりの高さです。
株式の期待リターンとほとんど変わりません。
従って、そのような相場では株式も少なからずダメージを受けていそうです。
○債券投資の出口
投資をするなら入口だけでなく、出口も考えておく必要があります。
債券はバイアンドホールドでも悪くはないかもしれません。
ですが、長期では債券の利回りは株式に劣ります。
あくまでも、短中期的な目線での保有を考えています。
債券を売却するタイミングはズバリ、政見策金利次第です。
政策金利を見て買ったので、政策金利を見ながら売るつもりです。
具体的なタイミング候補は、5つです。
・政策金利が下げ始めたとき
・政策金利が下げている真っ最中
・政策金利の下げがおさまりそうなとき
・政策金利が下げ終わったとき
・政策金利が一定の水準に達した時
金利の下げ始めは、これからさらに下げる期待から多く買われそうです。
このタイミングは、売り時ではなくむしろ最後の買いチャンスにも思えます。
金利が下げ終わったときは、すでに売るタイミングを逃しているように思います。
見通しがつくと、行き過ぎた売買が手じまいされる可能性もありそうです。
従って、金利が下がっている途中で売るのが良さそうと考えています。
下げ始めてから、
「まだまだ下げ続けるから今のうちに買わなければ」
このような雰囲気が続くときに売るのが理想ですね。
要は、皆が売るときに買い、買う時に売る、相場の空気感をつかむやり方です。
もう一つの視点は、客観的な数字で判断するパターンです。
株価が20%の利益がのったら売る、という具合ですね。

図:TLTチャート
出典:tradingview
例えば、
「債券ETFの市場価格で、TLTがコロナ前の120ドル辺りに戻ったら売ろうかな」
このような目線もありですね。
私の場合は、やはり政策金利を基準に売りが妥当な水準の目途をつけておきたいです。
ところが、如何せん素人なもので、政策金利の妥当な水準はわかりません。
長期のチャートを見ると、一旦景気が悪化すると0.25%まで下がるように感じます。
少なくともリーマンショック以降はその傾向がありますね。
あとは、FRBのインフレ率の目標というのもキーポイントになるかもしれません。
目標とされるインフレ率は2%です。
ただし、コロナ禍後の落ち着きを取り戻すのはなかなか難しいという見方もあります。
参考:BBCニュースジャパン
となると、インフレ率は2~3%が一つの目安かなという感じはしますね。
そうなると、政策金利もこの辺りが意識されそうですね。
政策金利が3%辺りで一旦手じまいする、あるいは、一部売却するというのはありかなと見ています。
○まとめ
というわけで、債券を買った理由と描いているストーリーについてまとめてみました。
こちらが現在の資産の割合です。

これまで、投信の一部に含まれる債券しか持っていませんでした。
2022年11月からちょこちょこ買い始め、2023年4月時点で投資資金の3割近くが債券になりました。
(全体の資産の15%にすぎませんが、レバレッジETFも少し使用しているため、投資資産の3割が債券となっています)
2023年1月から下書きを書いていたのですが、それから3カ月でまた様相が変わってきましたね。
私のイメージだと2023年~2024年以内に債券の売り時が来る、
つまり、金利が低下する局面が来るだろうと見通しを立てていました。
はたしてどうなるか、ワクワクしながら市況を眺めています。
◆債券を買った理由その1
・米政策金利の長期推移から判断して、今は高水準にある

図:米政策金利長期チャート
出典:ロイターグラフィックス
図は長期の米国政策金利のチャートです。
1980年を頭に、右肩下がりです。
リーマンショック以降は長らく0.25%が続いていました。
2015年からはじわじわ回復していました。
それも、コロナショックでリセットされましたね。
それが、2022年から急激に上昇しています。
コロナ禍の影響でインフレ率がえぐい上がり方をしました。
日本でもインフレが急に加速しましたね。
金利の上昇は、インフレ率を抑える狙いがあります。
2000年以降、金利が5%を超えて安定する時期は見られていません。
一時的に5%超えていても、その後経済の後退と利下げがセットで来ました。
そのことから、政策金利は5%、高くても6%が天井だろうと見込みました。
このぐらいの金利があると、無理して株式に資金を投じる必要性が薄れます。
債券である程度の利回りが狙えるからですね。
さらに、金利が高いと企業は資金調達に苦しみます。
そのため、企業成長の足枷にもなります。
そのことから、高すぎる金利は望まないと見ています。
債券を買った理由は、1つは政策金利の天井が近そうだから、ということです。
◆債券を買った理由その2
・米政策金利の予想がターミナルレートに差し掛かる

図:政策金利の予測
出典:fed watch
CMEが出している、政策金利の予測です。
マーケットの金利先物の価格データに、政策金利の予測が織り込まれています。
そのような情報などから、政策金利の予測を表で発表しています。
これは最近の表です。
私は、11月ぐらいにこのチャートを確認しました。
0.75%の上昇が続いていたのが、0.50%にペースダウンしそうでした。
その先はやがて0.25%上昇となり、ぼちぼち天井となりそうな雰囲気でした。
このことから、分散して債券を買っていくことを決めました。
・このような予想が出始めた瞬間
・金利が実際に0.50%上昇に緩んだタイミング
・上昇が0.25%上昇に緩んだタイミング
・上昇が止まったタイミング
こんな感じで買っていこうと、ざっくりとプランを立てました。
このように、予想でも金利上昇がおさまりそうというのが債券を買った理由の2つ目です。
◆債券を買った理由その3
・インフレ率の鈍化の兆し
政策金利上昇はインフレ退治が最大の目標です。
インフレ率にかかわる指標の変化の兆しもありました。

図:PPI
出典:investing.com
こちらは生産者物価指数(PPI)です。ここ最近は右肩下がりです。

CPI
出典:investing.com
こちらは消費者物価指数(CPI)です。
ここ最近は右肩下がりです。
生産者物価指数、消費者物価指数ともに、2022年8月からは安定して下げています。

図:PCEデフレーター
出典:investing.com
政策金利に一番影響を与えるのはPCEデフレーターです。
こちらは、頭打ちはしたものの、やや高めで推移している印象です。
これが安心して下がらないと、金利も上昇の余地が残ります。
ただ、逆にいえば右肩上がりからは様相が変わったとも感じられます。
このように、インフレ指標の鈍化も債券を買う要因となりました。
◆債券を買った理由その4
・逆イールドが発生

図:米国2年債vs10年債金利差チャート
出典:FRED
こちらは米国2年債と10年債の金利差のチャートです。
一般的に、長期的な債券のほうが未来の不確実性が高いです。
そのため、本来は長期債のほうが利回りが高いです。
しかし、市況によっては、短期債のほうが利回りが高くなることがあります。
これが逆イールド、金利の逆転現象です。
逆イールドは、リセッションのシグナルとして良く知られています。
実際、逆イールドが発生してから少しの時差をおいてリセッションが起こってきました。
今回もそうなるかはわかりませんが、その可能性も十分あると考えています。
有名な指標としては2年債と10年債の比較が良く用いられます。
しかし、より短期な3か月債と、より長期な30年債の間でも逆イールドが見られました。
このことから、少なくとも株価の上値はしばらく重たいのではないかと感じています。
しばらく株価が上がらないなら、債券を持っておこうという見込みです。
○債券を買った動機まとめ
債券を買った動機についてさらっとまとめます
・米政策金利は上昇の勢いがおさまりそう
・米政策金利の天井が近そう
・金利上昇により、インフレ率上昇にも歯止めがかかってそう
・逆イールドが生じていて、株だけでの運用は不安
このような理由から債券を買いました。
・私が債券投資に当たって描いたストーリー
状況的には、債券を買っても面白そうというのは各指標が物語っています。
それに加えて、私が描いたストーリーはこんな感じです。
・金利が天井になると、そこから債券が買われる
・金利が高止まりが続き、株価が上がりにくい
・企業は投資資金も得にくく、企業業績が下がり始める
・場合によっては景気後退も
・当然株価も上値が重く、場合によっては大きな調整
・経済を立て直すために、政策金利が下げに転じる
・金利が下がると利回りも下がる。債券は買われる
このように株価が上がりにくく、債券は上がりやすい、
そのようなストーリーを描いています
○デメリット、バッドストーリー
このストーリーの想定外も考えておく必要があります。
1つは、インフレ率の抑制が効かず、金利がさらに高くなる可能性があることです。
実際、債券を買い始めたころのターミナルレート予想は5%でした。
しかし一時期は、5.75%が意識されていましたね。
個人的には、過去の状況などから、6%ぐらいまでが上限かなと感じています。
これを超えるようだと、債券は一段と下げそうですね。
ただし、債券利回り6%はかなりの高さです。
株式の期待リターンとほとんど変わりません。
従って、そのような相場では株式も少なからずダメージを受けていそうです。
○債券投資の出口
投資をするなら入口だけでなく、出口も考えておく必要があります。
債券はバイアンドホールドでも悪くはないかもしれません。
ですが、長期では債券の利回りは株式に劣ります。
あくまでも、短中期的な目線での保有を考えています。
債券を売却するタイミングはズバリ、政見策金利次第です。
政策金利を見て買ったので、政策金利を見ながら売るつもりです。
具体的なタイミング候補は、5つです。
・政策金利が下げ始めたとき
・政策金利が下げている真っ最中
・政策金利の下げがおさまりそうなとき
・政策金利が下げ終わったとき
・政策金利が一定の水準に達した時
金利の下げ始めは、これからさらに下げる期待から多く買われそうです。
このタイミングは、売り時ではなくむしろ最後の買いチャンスにも思えます。
金利が下げ終わったときは、すでに売るタイミングを逃しているように思います。
見通しがつくと、行き過ぎた売買が手じまいされる可能性もありそうです。
従って、金利が下がっている途中で売るのが良さそうと考えています。
下げ始めてから、
「まだまだ下げ続けるから今のうちに買わなければ」
このような雰囲気が続くときに売るのが理想ですね。
要は、皆が売るときに買い、買う時に売る、相場の空気感をつかむやり方です。
もう一つの視点は、客観的な数字で判断するパターンです。
株価が20%の利益がのったら売る、という具合ですね。

図:TLTチャート
出典:tradingview
例えば、
「債券ETFの市場価格で、TLTがコロナ前の120ドル辺りに戻ったら売ろうかな」
このような目線もありですね。
私の場合は、やはり政策金利を基準に売りが妥当な水準の目途をつけておきたいです。
ところが、如何せん素人なもので、政策金利の妥当な水準はわかりません。
長期のチャートを見ると、一旦景気が悪化すると0.25%まで下がるように感じます。
少なくともリーマンショック以降はその傾向がありますね。
あとは、FRBのインフレ率の目標というのもキーポイントになるかもしれません。
目標とされるインフレ率は2%です。
ただし、コロナ禍後の落ち着きを取り戻すのはなかなか難しいという見方もあります。
参考:BBCニュースジャパン
となると、インフレ率は2~3%が一つの目安かなという感じはしますね。
そうなると、政策金利もこの辺りが意識されそうですね。
政策金利が3%辺りで一旦手じまいする、あるいは、一部売却するというのはありかなと見ています。
○まとめ
というわけで、債券を買った理由と描いているストーリーについてまとめてみました。
こちらが現在の資産の割合です。

これまで、投信の一部に含まれる債券しか持っていませんでした。
2022年11月からちょこちょこ買い始め、2023年4月時点で投資資金の3割近くが債券になりました。
(全体の資産の15%にすぎませんが、レバレッジETFも少し使用しているため、投資資産の3割が債券となっています)
2023年1月から下書きを書いていたのですが、それから3カ月でまた様相が変わってきましたね。
私のイメージだと2023年~2024年以内に債券の売り時が来る、
つまり、金利が低下する局面が来るだろうと見通しを立てていました。
はたしてどうなるか、ワクワクしながら市況を眺めています。
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